きままなアラカルト

きみと追いかけてゆける風が好きだよ

ドロ刑 最終話

ドロ刑が始まった当初はあーおじさん大泥棒エンケン(煙鴉)と新米刑事ケンティー斑目)のBLか~って思ってた。私の出身は二次オタだし腐女子だし脊髄反射
ケンティーも恋愛ものと言っていて、何言ってるの!?ハッおたくを釣るんですねわかります!!バーで酔っぱらって斑目は煙鴉にボディータッチしまくるし甘えまくるし、追う者と追われる者なのにこれは同人か?二次創作か???って感じだった。
ジャニーズにそういう男同士の仲良しイチャチイチャ売りはあるし、ホモが嫌いな女子なんかいません!なんて若干眉唾物な論もあるし、まあこういうドラマがあってもいいんじゃない~?ぐらいのゆるーい見方。
そして何より主題歌のカラクリだらけのテンダネスが最高だし、BGMとマッチしていてかっこいい。それなりに楽しく気楽に見ていた。


そしたら最終回、斑目、煙鴉、斑目のライバル的存在である皇子山と三つ巴で銃を突きつけ合う。おたくが絶対に好きなやつ~~~!と軽率にわくわくしてしまったのだけど、ケンティーの芝居が凄いのだ。

手は震え瞳は苦痛で歪んでいる。思わず見入ってしまう。ケンティーは男でも女でもなく裸の人間になっていると私は感じた。異性愛者だから異性を愛する、同性愛者だから同性を愛する、そんな概念ではなく、理屈ではなくただただケムさんを撃てないのだ。躊逡する様子を説明するようなケムさんとの思い出回想シーンが流れなかったところも良い。
余計な情報抜きに、追う者と追われる者である物語の終着を迎えなければならない今現在、互いに銃を向け対峙している斑目の瞳と息と震えだけから、斑目にとっての煙鴉が刑事と泥棒の関係を越えた特別な存在であることを訴えかけてくる。


めちゃくちゃに凄い。全編シリアスな9話10話はアイドルであるSexy Zoneのケンティーは完全に消失していた。
私が見てきた中でケンティーが演じる男の物語(ガードセンター24、石ノ森章太郎物語等)には見る人を内面に引き込む強さがあると思っていたが、このシーンは更に強く感じさせる場面だった。

病院でケムさんが目を覚ましたときに大粒の涙を目に溜めて片時もケムさんから目を離さないシーンも凄く良い。刑事、恋人、家族、父子、師弟関係でもなく、斑目と煙鴉にしかない唯一無二の関係性が漂っていた。
言葉もなくアップでカメラに抜かれた表情からそんな想像力を掻き立てられるものがあった。


誰にも介入できない関係性って凄くロマンチックじゃないですか?
凄く強靭な関係。

そんなふたりのお茶目な男たちの夢のような関係性がとても美しい最終話でした。